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参加アーティスト

アナヒタ・ラズミ

アナヒタ・ラズミ

滞在期間:2017.11.01-2017.12.22

英:Anahita Razmi

MAJでの活動計画
日本滞在中のリサーチでは、日本におけるイラン移民の具体例を参考にして、日本の移民文化の側面を研究することを目標としています。イラン人は、日本に在住の外国人の割合の中でも、1.8%と少数派にとどまっています。この状況は、1990年代初頭までは現在と異なる状況でした。イランとイラクの戦争を逃れ、日本のバブル経済へ避難場所を探しに、多くの違法イラン移民が1980年代に著しく増加したためです。バブル崩壊後、大多数のイラン人労働者が日本より追放され、日本でのイラン人の数は毎年急速に減少していきました。この一時的なイラン人の移民ブームの痕跡は、今日も日本にはまだ存在しているのでしょうか?その時代の目撃者ではないにしても、日本とイランの小さな「ハイブリッド・カルチャー」を想像できるでしょうか?これに対する異なる前提条件と可能性は、国内のさまざまな地域で、どのように発見することができるでしょうか?今回のプロジェクトでは、これらのリサーチと相互交流に焦点を当てながら、視覚的な物語を発展させることを目的としていく予定です。

経歴
2015年、ドイツ、Erich Hauser FoundationのWerkstattpreis受賞
2015年、日本、京都のゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ・鴨川の招聘アーティストに選出日本
2011年、ロンドン、フリーズ財団The EMDASH Award受賞

主な活動地域:ドイツ、ベルリン

プロフィール
流用、翻訳、再現:ベルリンを主な活動地域とする、イラン人としてのバックグラウンドを持つアーティスト、アナヒタ・ラズミ/ Anahita Razmi ( www.anahitarazmi.de)の作品は、文化と場所の移動を基軸として展開している。国家的および文化的意義のあるオブジェクトの使用や、重要なアーティスト作品の引用を行うアート・プロジェクトでは、輸入/輸出と、貿易の条件、パラメーターの使用と誤用、一般的なグローバル・イメージと貿易のロジックの転換を可能にすることに挑戦している。
一つの場所から別の場所へ移動する際に、身体とアイデンティはどのように変化するのだろうか?また、この中で『ブランディング』という言葉は何を意味するのだろうか?ラズミの作品は、映像、インスタレーション、新しいメディウム、そしてパフォーマンスといった媒体を中心としており、東洋と西洋の間の、視覚的な記憶、固定観念、政治情勢と基準についてを再考する。イランの現在の政治的、社会的な状況と関係に、オープンかつアンビバレントな主張を投げかけている。

オープンコール
審査員コメント:

中村政人 (アーツ千代田 3331 統括ディレクター)
Anahita Razmiさんは、日本におけるイラン文化をリサーチ対象にしている点が興味深い。1992年まで続いたイランとのビザ免除の観光協定が廃止されるまでは、多くのイラン人が日本に滞在していた。現在も中東問題は、緊張感が続いているが、日本国内ではそのリアリティがあまり感じられない状況である。その意味もあり、Anahita Razmiさんのレジデンス滞在型プログラムによるリサーチ計画は、日本に埋もれてしまっているイラン文化に光をあてる貴重な機会となる事を期待したい。

鷲田めるろ (金沢21世紀美術館 キュレーター)
滞在先での調査に基づき作品を制作するという多くの応募のなか、ドイツで美術教育を受けたアナヒタ・ラズミは、最終的なアウトプットとして、美術の歴史を踏まえた、しっかりとした作品に仕上げることができる力を持つと感じた。イラン文化が日本でどのように見られるかという切り口も明快である。日本の地方都市でのイラン文化の調査は、それぞれの街の意外な側面を示す可能性がある。滞在先は応募案の計画よりも絞った方がよいだろう。

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